記 事 |
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2002アジア・パシフィックレザーフェアが、香港展示会議センターにおいて、4月8~10日に製品展が、同9~12日には材料展が開催された。 大洋手袋製造有限公司=大阪府堺市浜寺南町3-10-1=も例年通りフェア製品展にブースを出展し、多くの来訪者を迎え、盛況裡に終えたが、今年で7年、10回目の出展になる同社神谷高締常務に概況を報告してもらった。 ●確かな回復かどうかはもう少し時間をかけて まず今回のフェアの特徴ですが、製品展と材料展が同時期に開催されたことと、中国のWTO加盟に伴い、アメリカの輸入制限が撤廃になった後、初めての世界最大規模のフェアであることの2点です。 そのため欧米のバイヤーがかなり熱心に商談にきていました。 皆、今までクオータ回避のためにベトナムやインドネシアに逃げていたオーダーを見直しにかかっているようで、引き合いや受発注が多く出ていたようです。 ただ、材料展と同時期に開催されたので、展示会中にも材料サプライヤーの売り込みも多く、何とも困惑したのも事実です。 上記のような変化のためか、フェア全体としては、97年後半をピークとして、年々出展社と来場者が減り続けていたのですが、今回のフェアに関しては、バッグ製品の出展社数だけでも500社を越え、来場者も例年になく多くて、賑わいを見せていました。 日本からの来訪者や見学者もかなりいたようです。 出展社同士の会話なのですが、昨年対比でも伸びを見せ、マーケットが回復基調にあるという実感を、多くの人が抱いているようです。 9・11のアメリカ同時多発テロの後、控え気味であった反動もあり、確かな回復なのかどうか、もう少し期間を取ってみる必要がありますが、最悪期は脱したという感があります。 ただし、明暗がはっきりしているようで、ありていに言えば、ここでも勝ち組・負け組があるようです。 情報のスピードがここまで迅速になった世界では、競争優位を保てない会社はふるいにかけられるようです。 メタルパーツメーカーを併設している業者や、トレンド訴求の良いブースなど、訴えるもののあるチームは、成果を伸ばしたようです。 ●生産キャパの60%以上は香港法人での営業 出展企業は、香港ブースのように各国でまとまってプリセットの区画に出展しているブースと、過去の経験があり、一社単独で自社ブースをオーダーメイドで作っている業者と2通りあります。 各国ブースとしてはイタリア、フランス、スペイン、香港、中国、台湾等のブースがあります。 残念なことに、今年から日本ブースはなくなりました。 弊社は96年から02年まで、毎年継続してこのフェアに出展してきています。 今回で7年目、10回目の出展です。 幸いなことに、顧客も開拓してきて、実際工場生産キャパの60%は、この香港法人での営業分です。 現状では、その売上げの半分以上はフランス、イタリア、米国などの非日系市場への輸出です。 日本からの企業出展業者は、毎回移り変わります。 継続されるところがないのが残念なことです。 事業展開の視点を少し高いところから、グローバルな市場を考慮すれば、もっと業績を伸ばせる日系企業はあると思うので、是非皆さんにもご検討頂きたいと思います。 ●ハイクラス市場を想定しての商品構成 当社のブースに関して述べますと、来訪者は例年並みですが、商談が具体的な新規顧客が多く、今後の進展に期待できる手応えを感じました。 今回のフェアでは、比較的ハイクラスのマーケットを想定した商品構成で臨みました。 革素材では、全てイタリアのブランドタンナーの素材を厳選し、布帛もリモンタ社や柿渋染めのキャンバス、米国のアウトドア用途の素材など、こだわりを持った素材と技術を提案したところ、例年より確かな受注や引き合いを受けました。 やはり広い世界には、このクラスの製品レベルを希望される顧客もあり、有益でした。 成果といたしましては、当初の狙い通り、自社のプロパー商材で、米国向けのハイクラス市場の業者を掴むことができた点を評価しています。 欧米のマーケットでの高額ブランドは、自国のメーカーを利用している場合が多いのですが、素材の調達能力や日系企業の品質、技術、納期等の管理能力の高さは、顧客にとってパートナーとして選ぶだけの魅力はあるようです。 これからもこのマーケットヘの訴求に注力する予定です。 それと、タイのデパートメントストアから受注を頂いたのですが、これがまずまずの高価格帯にも関わらず、オフィスまでこられて2000本程度の仮発注を出されました。 年に4~5回は買い付けにきているそうで、継続できれば、安定供給できそうです。 アジアでの日本人気は、我々の想像の域を超えています。 この波を掴んでいきたいところです。 今後は、人材を確保して、アジアのローカルの引き合いにも、丁寧に対応していける体制を整えるつもりです。 《写真はアジア・パシフィックレザーフェアにおける大洋手袋製造有限公司のブース》 <月刊B.L.F. ぶるふ ’02年NO.5> |